前回まででランキングシートが完成し、第8章が終わりました。今回からは第9章「チーム成績シートを作る」に入ります。第75回は、チーム成績シートの設計思想と列構成を決めるところから始めます。
これまで作ってきたシートは「個人の成績を選手ごとに集計する」ものでした。チーム成績シートは少し違います。「チームとして今年は何勝したか・打率はどうだったか」を1年分を1行にまとめて蓄積する設計です。シーズンを重ねるごとに行が1行ずつ増えていき、複数年の推移を一覧できるようになります。
なぜ年度別に管理するのか
「今年の成績だけわかればいい」という考えもありますが、年度別に蓄積しておくと次のようなことができるようになります。
- 「去年より勝率が上がった・下がった」を数字で確認できる
- 「チームの得点力は年々上がっているか」を折れ線グラフで可視化できる(第80回)
- 「防御率が悪化した年は何があったか」を振り返るときに根拠になる
- 長く続ければ続けるほど、チームの歴史として価値が出てくる
1行追加するだけで1年分の記録が残ります。設計さえ決めてしまえば、毎年の作業はほとんどかかりません。
チームシートの全体像:1行1年度の設計
チームシートの基本構造はとてもシンプルです。
| 列 | 項目 | 内容・備考 |
|---|---|---|
| A列 | 年度 | 2024・2025・2026 など西暦で入力 |
| B列 | 試合数 | フォーム(チーム成績)シートのCOUNTA で自動集計 |
| C列 | 勝ち | 勝敗列で「勝」の数をCOUNTIFで集計 |
| D列 | 負け | 勝敗列で「負」の数をCOUNTIFで集計 |
| E列 | 引分 | 勝敗列で「引分」の数をCOUNTIFで集計 |
| F列 | 勝率 | 勝÷(勝+負)の計算式(引分は除く) |
| G列 | 得点 | フォームの得点列をSUMで合計 |
| H列 | 失点 | フォームの失点列をSUMで合計 |
| I列 | 打率 | 年間(野手)シートのチーム安打÷打数(第76回) |
| J列 | 本塁打 | 年間(野手)シートの本塁打をSUMで合計(第76回) |
| K列 | 盗塁 | 年間(野手)シートの盗塁をSUMで合計(第76回) |
| L列 | 防御率 | 年間(投手)シートの自責点・投球回から計算(第77回) |
このシートの実物はすでにExcelファイルに存在しています。今回はその設計思想を理解してから、次回以降で集計式を1列ずつ完成させていきます。
今シーズン(2026年)の実データを確認する
フォーム(チーム成績)シートに記録された実データから、今シーズンの全試合を確認します。
| 試合日 | イニング数 | 勝敗 | 得点 | 失点 |
|---|---|---|---|---|
| 1/25 | 5回 | 負 | 1 | 6 |
| 2/1 | 7回 | 勝 | 12 | 0 |
| 2/15 | 7回 | 負 | 6 | 4 |
| 3/1 | 6回 | 勝 | 8 | 3 |
| 3/8 | 8回 | 勝 | 11 | 1 |
| 3/15 | 4回 | 勝 | 11 | 1 |
| 3/22 | 7回 | 引分 | 2 | 2 |
| 3/29 | 6回 | 勝 | 3 | 2 |
| 4/12 | 7回 | 引分 | 2 | 2 |
| 4/26 | 7回 | 勝 | 4 | 2 |
| 合計 | — | 6勝2負2分 | 60 | 23 |
10試合で6勝2負2分、勝率.750。得点60・失点23と大きく得点が上回っています。これがチームシートの2026年行に自動集計されます。
「3層構造」の中でチームシートはどこにいるか
第9回で解説した3層構造を振り返ると、チームシートは集計層の最後のピースです。
| 層 | シート | 役割 |
|---|---|---|
| 入力層 | フォーム(野手・投手・チーム成績) | 試合ごとのデータを1行ずつ記録 |
| 集計層 | 年間(野手)・年間(投手)・チーム | 入力層を選手別・チーム別に年間集計 |
| ランキング層 | ランキング | 集計層から上位N件を抽出して表示 |
年間(野手)・年間(投手)シートは「選手1人につき1行」でした。チームシートは「1シーズンにつき1行」——同じ集計層でも対象の粒度が異なります。
集計元が2つあることを理解する
チームシートの各列は、集計元のシートが列によって異なります。これを最初に整理しておくと、次回以降の関数の話がスムーズに理解できます。
試合ごとに「勝敗・得点・失点・イニング数」が1行ずつ積まれているシートです。
試合数・勝ち・負け・引分・勝率・得点・失点 はここから集計します。
選手別に集計済みのシートです。
チーム打率・本塁打・盗塁 は年間(野手)シートから全選手分を合算します。防御率 は年間(投手)シートの自責点・投球回から計算します。
実際のチームシートには現在2026年の行しかありません。年度別管理のメリット(複数年の比較)は、2年目・3年目のデータが蓄積されてから初めて活きてきます。
シーズン終了時に集計値を確定させる手順(第93回「年度切り替え」)は後で解説しますが、設計だけは今から正しい形で作っておくことが重要です。「来年どう使うか」を想定してシートを設計するのが、長く使える管理表の作り方です。
チームシートに必要な作業は3ステップ
全体の流れを先に把握しておきましょう。チームシートの完成までに次の3ステップが必要です。
2026年の行を1行追加し、各列のヘッダーを決めます。この回でやることです。
試合数・勝ち・負け・引分・勝率・得点・失点(第78・79回)、チーム打率・本塁打・盗塁(第76回)、防御率(第77回)の順に式を完成させます。
年度が複数行になったら、折れ線グラフで推移を可視化します。
今回の作業:2026年行を1行作る
設計の話が続きましたが、今回の実作業はシンプルです。チームシートを開いて次の準備をしておきます。
1行目:ヘッダー行
| A1 | B1 | C1 | D1 | E1 | F1 | G1 | H1 | I1 | J1 | K1 | L1 |
| 年度 | 試合数 | 勝ち | 負け | 引分 | 勝率 | 得点 | 失点 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 | 防御率 |
2行目:2026年のデータ行(集計式は次回以降)
A2セルに 2026 と入力します。B2〜L2には次回以降で集計式を入れていきます。今回はA2に年度を手入力するだけでOKです。
- チームシートは「1シーズンにつき1行」の設計——年度が増えるごとに行が1行ずつ積み上がる
- 年度別に管理することで複数年の勝率・得点・防御率の推移をグラフで比較できるようになる
- 列構成は A:年度 / B:試合数 / C:勝ち / D:負け / E:引分 / F:勝率 / G:得点 / H:失点 / I:打率 / J:本塁打 / K:盗塁 / L:防御率 の12列
- 集計元は2つ——試合数〜失点はフォーム(チーム成績)から、打率〜防御率は年間(野手・投手)シートから
- 今シーズン(2026年)のチーム成績は 10試合・6勝2負2分・勝率.750・得点60・失点23
- 今回の実作業はヘッダー行とA2セルへの「2026」入力のみ——集計式は次回から1列ずつ作る
- 次回はチーム打率・本塁打・盗塁の集計方法を解説する
次回予告
次回は「チーム打率・本塁打・盗塁の集計方法」。年間(野手)シートにはすでに選手ごとの安打・打数・本塁打・盗塁が集計されています。それをチーム全体で合算してチームシートのI〜K列を完成させます。チーム打率は「全選手の安打合計 ÷ 打数合計」で計算する点が個人打率と少し異なります。
▶︎ 次回:【第76回】チーム打率・本塁打・盗塁の集計方法



コメント