第49回 長打率の定義と計算式を作る

関数・自動化

前回は出塁率の定義と計算式を学びました。今回はいよいよ長打率の定義と計算式を作っていきます。

長打率は「塁打数 ÷ 打数」というシンプルな式です。第45回で塁打数の計算はすでに完成させているので、あとは割り算とIFERRORを組み合わせるだけ。長打率ができあがれば、次回のOPS(出塁率+長打率)まであと一歩です。

長打率とは何か

長打率は「1打数あたり平均何塁まで進めるか」を表す指標です。打率がヒットの「本数」を評価するのに対して、長打率はヒットの「質」まで評価してくれます。

指標 分子 分母 何を評価するか
打率安打数打数ヒットの本数
長打率塁打数打数ヒットの質(長打力)
📝 長打率が1.000を超えることもある

打率は1.000を超えることはありませんが、長打率は超えることがあります。本塁打ばかり打つ選手なら、1打数で4塁打分カウントされるため、理論上は最大4.000まで到達します。つまり長打率は「割合」ではなく、「1打数あたりの平均塁打数」として読む数字なのです。

長打率の計算式

✅ 長打率の計算式

長打率 = 塁打数 ÷ 打数

第45回で塁打数(単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4)の列はすでに作成済みです。あとはその列を打数の列で割るだけで完成します。

✅ 長打率の関数(完成形)
=IFERROR(塁打数のセル/打数のセル, 0)

打率の計算式(第47回)と構造はまったく同じで、分子が「安打数→塁打数」に変わっただけです。打数が0の選手はIFERRORのおかげでエラーにならず、0を返してくれます。

例で計算を確認してみよう

例えば、こんな年間(野手)シートがあったとして、実際に計算を確認してみましょう。

SUZUKIさんの例(三塁打あり)

種類 本数 重み 塁打
単打9×19
二塁打4×28
三塁打1×33
本塁打0×40
塁打数合計打数:2220

長打率 = 20 ÷ 22 ≒ .909。1打数あたり平均0.9塁以上進めている計算になり、長打力の高さがよく表れています。年間(野手)シートの集計値ともきちんと一致します。

YAMAMOTOさんの例(本塁打あり)

種類 本数 重み 塁打
単打3×13
二塁打1×22
三塁打0×30
本塁打1×44
塁打数合計打数:229

長打率 = 9 ÷ 22 ≒ .409。安打数は5本と少なめですが、本塁打1本が4塁打分まとめて加算されるため、長打率が打率(.227)を大きく上回る結果になっています。

YAMAOKAさんの例(長打ゼロの選手)

長打(二塁打以上)がまったくない選手の場合、塁打数=安打数になるため、長打率と打率が同じ値になります。

選手名 安打数 塁打数 打数 打率 長打率
YAMAOKA7722.318.318

安打7本がすべて単打のため、塁打数も7。打率と長打率がぴったり一致していますね。

打率・出塁率・長打率を3つ並べて見る

3つの指標が揃うと、選手の打撃の特徴がより立体的に見えてきます。

選手名 打率 出塁率 長打率
SUZUKI.636.733.909
SATO.357.357.464
YAMAMOTO.227.261.409
YAMAOKA.318.444.318

YAMAMOTOさんは打率.227と低めですが、長打率は.409と高くなっています。一方でYAMAOKAさんは出塁率.444と高いものの、長打率は打率と同じ.318にとどまっています。こうして3つの指標を並べて初めて、選手ごとの個性が見えてくるのです。

長打率が完成すると次はOPS

出塁率と長打率の2つが揃えば、いよいよOPS(On-base Plus Slugging)が計算できるようになります。OPSは「出塁率+長打率」という非常にシンプルな式ながら、打者の総合的な打撃力を1つの数字で表せる指標です。詳しくは次回解説します。

⚠️ 長打率の表示形式は打率と同じ「.000」にする

長打率のセルにも、第47回で学んだカスタム数値形式 .000 を適用しておきましょう。打率・出塁率・長打率がすべて同じ桁数で表示されると見た目が揃い、シートがぐっと読みやすくなります。なお長打率は理論上1.000を超える場合がありますが、.000 形式にしておけば「1.000以上」の値でも正しく表示されます。

✅ この記事のまとめ
  • 長打率 = 塁打数 ÷ 打数。関数は =IFERROR(塁打数/打数, 0)
  • 打率との違いは分子が「安打数→塁打数」になること。長打ほど高く評価される
  • 長打がゼロの選手は塁打数=安打数になり、打率と長打率が一致する
  • 長打率は1.000を超える場合がある(「割合」ではなく「平均塁打数」という考え方)
  • 打率・出塁率・長打率の3つが揃うと、次回のOPS計算まであと一歩

次回予告

次回は「OPSとは何か:出塁率+長打率の意味」。OPSという概念の成り立ちと計算式、そしてなぜ野球でこれほど重要視される指標なのかを解説します。計算自体は出塁率+長打率を足すだけなので、あっという間に完成しますよ。

▶︎ 次回:【第50回】OPSとは何か:出塁率+長打率の意味

コメント

タイトルとURLをコピーしました