前回は条件付き書式を使って、打率の高低をセルの色で表現しました。今回はいよいよグラフを使って打撃成績を視覚化してみましょう。
数字を並べた表ももちろん大切ですが、グラフにすると「チーム内でだれが突出しているか」「打点と安打の傾向が違う選手はいないか」が一瞬でわかります。Googleスプレッドシートのグラフ作成はとてもシンプルで、範囲を選んでメニューをクリックするだけ。難しい設定は一切必要ありません。
グラフ作成の基本的な考え方
グラフを作る前に「何を見たいのか」を決めておくと、迷わずに済みます。打撃成績でよく使われるグラフは、次の3パターンです。
| グラフの種類 | 向いている用途 | 成績管理での例 |
|---|---|---|
| 棒グラフ | 選手間の数値を比較する | 選手別の安打数・打点・打席数 |
| 横棒グラフ | 選手名ラベルが長い場合に読みやすい | 打率ランキング的な表示 |
| 折れ線グラフ | 複数の指標を重ねて比較する | 打率・出塁率・長打率を重ねて表示 |
今回は①選手別の安打・打点の棒グラフと、②打率・出塁率・長打率・OPSを重ねた比較グラフの2種類を作っていきます。
グラフ①:選手別「安打・打点」棒グラフを作る
まずは、どの選手が安打・打点を多く稼いでいるかをひと目で比較できる棒グラフから作ってみましょう。
年間シートで、選手名(B列)・安打(G列)・打点(I列)の3列を選択します。離れた列を選ぶには、B列を選択したあとCtrl(Macはcommand)を押しながらG列・I列を追加選択してください。
打席0の選手(未出場)が含まれていると、グラフが見づらくなってしまいます。出場選手(試合数が1以上)の行だけを選ぶのがおすすめです。
メニューの「挿入」→「グラフ」をクリックしましょう。スプレッドシートが自動でグラフの種類を判定して挿入してくれます。
画面右側に「グラフエディタ」パネルが開くので、「グラフの種類」のドロップダウンから「棒グラフ」(縦棒)を選びます。選手名がX軸、安打数・打点数がY軸に並ぶグラフが表示されます。
グラフエディタの「カスタマイズ」タブ→「グラフと軸のタイトル」で、「選手別 安打・打点(2026年度)」のようなタイトルを入力しておくと、ぐっと見やすくなります。
例えば、こんな管理表があったとします。グラフにすると次のような分布が見えてきます。
| 選手名 | 安打 | 打点 |
|---|---|---|
| SUZUKI | 14 | 6 |
| YOSHIDA | 10 | 4 |
| TANAKA | 7 | 3 |
| YAMAMOTO | 7 | 4 |
| YAMAOKA | 6 | 4 |
| SATO | 6 | 4 |
| ITO | 6 | 5 |
| SAKAI | 5 | 3 |
| NAKATA | 3 | 2 |
このサンプルでは、SUZUKIさんが安打14本でダントツトップです。ところが打点で見ると、トップはSATOさん(5打点)。安打数トップのSUZUKIさんの打点が6にとどまる一方で、安打6本のSATOさんが5打点を稼いでいるわけです。こうした「安打の多さと打点の多さは必ずしも一致しない」という傾向も、棒グラフにすると直感的に見えてきます。
グラフ②:打率・出塁率・長打率・OPS 比較グラフを作る
次は、率系の4指標(打率・出塁率・長打率・OPS)を1つのグラフに重ねて、選手ごとの打撃スタイルの違いを確認できるグラフを作ります。
規定打席をクリアした選手の行だけを対象に、選手名(B列)・打率(D列)・出塁率(K列)・長打率(L列)・OPS(M列)を選択します。Ctrlを押しながら各列を追加選択していきましょう。
「挿入」→「グラフ」で挿入し、グラフの種類を「棒グラフ」にします。これで4つの指標が選手ごとに並び、比較しやすいグラフになります。
OPSは1を超えることがあるため、打率(0〜1未満)と同じY軸に並べると、スケールが合わずグラフが見づらくなりがちです。グラフエディタの「カスタマイズ」→「系列」でOPSの系列を選び、「軸」を「右軸」に変更すると、ぐっと見やすくなります。
設定が難しく感じる場合は、OPS列を除いた3指標(打率・出塁率・長打率)だけでグラフを作っても十分役に立ちます。
たとえばH.OKITAさん(打率.357・出塁率.357)は四死球がゼロのため、打率と出塁率がぴったり同じ数字になります。一方でS.TANAKAさん(打率.368・出塁率.478)は四死球を4個選んでおり、出塁率が打率を大きく上回っています。こうした「打率は似ているのに出塁率に差がある選手」の違いも、グラフで並べれば直感的にわかります。
グラフを別シートに移動する方法
作成したグラフは年間シートの上に重なって表示されます。邪魔に感じる場合は、別シートに移動してしまいましょう。
- グラフをクリックして選択する
- グラフ右上の「⋮(縦3点リーダー)」→「グラフを移動」をクリック
- 「新しいシート」を選択して「移動」をクリック
グラフ専用の新しいシートが作られますが、年間シートのデータとの連動はそのまま。元のデータが更新されれば、グラフも自動で反映されます。
グラフ活用のコツ:「グラフ用テーブル」を作る考え方
グラフに使いたいデータが年間シートの離れた列に散らばっていると、毎回Ctrlを押しながら選択するのは案外手間です。そこでグラフ用に必要な列だけをまとめた小さなテーブルを別の場所に作っておくと、グラフの作成・更新がぐっと楽になります。
年間シートの空き列(またはランキングシートの隣)に、グラフで使う列だけを並べた小テーブルを作ります。セルには年間シートへの参照式(例:='年間(野手)'!B2)を入れるだけでOK。元データが変われば自動で追従します。
このテーブルを選択してグラフを作れば、連続した範囲として扱われるので操作もシンプルになります。
未出場の選手(打席0)がグラフに入ると、0の棒がいくつも並んで見づらくなります。グラフ用テーブルを作るときにIF関数で「試合数が1以上の選手だけ表示する」ようにしておくか、グラフの対象範囲を手動で出場選手の行だけに絞ると解決します。
- グラフは「挿入」→「グラフ」から作れる。範囲選択→挿入の2ステップで基本形が完成する
- 選手別の安打・打点比較には棒グラフ、複数の率指標の比較にも棒グラフの多系列が使いやすい
- OPSは1を超えるため、他の率指標と重ねる場合は第2軸に設定すると見やすい
- グラフは別シートに移動できる。データと連動したまま自動更新される
- グラフ用に列をまとめた小テーブルを作っておくと、毎回の選択操作が楽になる
次回予告
次回からはいよいよ第7章「投手成績の関数を作る」に入ります。第58回のテーマは「投球回の小数表記(1.1・1.2)を数値に変換する」。野手成績とは大きく異なる、投手成績ならではの計算ロジックを解説していきます。



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