第42回 犠打・犠飛・敵失・野選・併殺をカウントする

関数・自動化

前回は三振・四球・死球のカウント方法を学びました。今回のテーマは犠打・犠飛・敵失・野選・併殺という、少しクセのある打席のカウント方法です。

「打席数には入るのに打数には入らないもの」「守備位置つきの記号で管理するもの」など、扱いが微妙に違うのがこの5つの厄介なところ。ですが、1つずつ整理してしまえば決して難しくありません。順番に見ていきましょう。

まず「打数に含まれるか」を整理する

今回カウントする5つの打席結果が、打席数・打数にどう影響するかを先に確認しておきましょう。

打席結果 打席数に含む 打数に含む 理由
犠打バントで走者を進めた「犠牲」のプレー
犠飛フライで走者を生還させた「犠牲」のプレー
敵失(エラー)相手のミスで出塁。打者の責任打席として記録
野選守備側が他の走者を狙ったため打者が出塁
併殺ゲッツーで2アウト。打者の責任として記録
📝 犠打・犠飛だけが打数から除外される

打数の計算式は「打席数 − 四球 − 死球 − 犠打 − 犠飛」でしたね(第39回)。敵失・野選・併殺はこの式に含まれていないので、そのまま打数にカウントされます。つまり、敵失で出塁しても打率には貢献しません。エラーが多い相手ほど出塁率は上がっても打率は伸びない、という仕組みです。

犠打・犠飛のカウント(完全一致)

犠打と犠飛はシンプルです。フォームの選択肢がそのまま「犠打」「犠飛」という文字列になっているので、完全一致でカウントするだけで済みます。

✅ 犠打数の関数(E列)
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!I:I,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!J:J,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!K:K,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!L:L,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!M:M,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!N:N,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!O:O,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!P:P,"犠打")

犠飛数(F列)は、この式の「犠打」を「犠飛」に置き換えるだけです。構造はまったく同じですので、コピーして書き換えれば完成です。

敵失のカウント(ワイルドカードが必要)

敵失のカウントには少し注意が必要です。フォームの選択肢を見ると、「敵失」とひとまとめにする設計と、「投失」「捕失」「一失」「二失」「三失」「遊失」「左失」「中失」「右失」のように守備位置ごとに分ける設計の、大きく2種類が考えられます。

📝 どちらの記号設計か確認しよう

自分のフォームで「敵失」という1種類だけを使っているか、それとも「投失・捕失・一失…」という守備位置別の記号を使っているかによって、関数の書き方が変わります。まずはご自身のフォームの選択肢を見直してみてください。

パターンA:「敵失」1種類だけの場合

フォームの選択肢が「敵失」だけなら、話は簡単です。完全一致でそのままカウントできます。

✅ 敵失数の関数(パターンA)
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"敵失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"敵失")
…(第十打席まで同様)

パターンB:「投失・捕失・一失…」と守備位置別に記録する場合

守備位置別の記号を使っている場合、すべての「〇失」をまとめて数えたい場面が出てきます。そこで役立つのがワイルドカードです。「失」という文字で終わる記号を、まるごと拾い上げることができます。

✅ 敵失数の関数(パターンB:ワイルドカード)
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!I:I,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!J:J,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!K:K,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!L:L,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!M:M,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!N:N,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!O:O,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!P:P,"*失")

"*失"は「失という文字で終わるすべての記号」を拾います。「投失」「捕失」「一失」「遊失」…どの記号も、これ一本でまとめてカウントできます。

野選・併殺のカウント(完全一致)

野選と併殺は、フォームの選択肢がそれぞれ「野選」「併殺」という1種類だけなので、これも完全一致でカウントします。

✅ 野選数の関数
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"野選")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"野選")
…(第十打席まで同様)

併殺数も同じ形で、「野選」を「併殺」に置き換えるだけで完成します。

例えば、こんな管理表があったとします

ここまでの関数がどう動くか、サンプルのデータで確認してみましょう。

試合 第一打席 第二打席 第三打席 第四打席
第1試合遊ゴ中安犠打(なし)
第2試合犠打四球空三振四球
第5試合空三振犠飛犠飛敵失

このデータを関数に当てはめると、集計結果は次のようになります。

項目 結果 打数への影響
犠打数2打数から除外される
犠飛数2打数から除外される
敵失数1打数に含まれる(除外しない)

集計項目の全体像をまとめる

ここまでで、年間(野手)シートに必要な特殊打席の集計列が一通りそろいました。整理すると、次のようになります。

項目 条件の書き方 打数に含む
犠打数"犠打"(完全一致)
犠飛数"犠飛"(完全一致)
敵失数"敵失" または "*失"(ワイルドカード)
野選数"野選"(完全一致)
併殺数"併殺"(完全一致)
⚠️ よくあるミス:敵失を打数の除外対象にしてしまう

「敵失も特殊な打席だから、打数からも除外しないと」と考えてしまう方がいますが、これは誤りです。敵失は打数に含めます。打数から除外するのは、四球・死球・犠打・犠飛の4つだけ。迷ったときは、第39回で確認した打数の計算式を見直してみてください。

✅ この記事のまとめ
  • 犠打・犠飛は打数から除外される。敵失・野選・併殺は打数に含まれる
  • 犠打・犠飛・野選・併殺は完全一致でCOUNTIFSカウントするだけでよい
  • 敵失は守備位置別記号(投失・捕失…)を使っている場合、"*失"のワイルドカードでまとめてカウントできる
  • 敵失を打数から除外しないよう注意する(間違いやすいポイント)
  • 自分のフォームの選択肢が「敵失」1種類か「〇失」形式かを、まず確認しておく

次回予告

次回は「盗塁をフォームで記録してカウントする方法」を解説します。打席結果とは別枠の数値入力として盗塁をどう設計するか、そしてSUMIFSで選手ごとに集計する方法まで、丁寧に見ていきます。

▶︎ 次回:【第43回】盗塁をフォームで記録してカウントする方法

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