前回は三振・四球・死球のカウント方法を学びました。今回は犠打・犠飛・敵失・野選・併殺という特殊な打席をカウントする関数を作ります。
これらは打席数には含まれるものの、打数には含まれないものや、「〇失」という守備位置つきの記号で管理するものなど、それぞれ少しずつ扱いが違います。1つずつ整理していけば、実は難しくありません。
まず「打数に含まれるか」を整理する
今回カウントする5つの打席結果が、打席数・打数にどう影響するかを確認しておきましょう。
| 打席結果 | 打席数に含む | 打数に含む | 理由 |
|---|---|---|---|
| 犠打 | ✅ | ❌ | バントで走者を進めた「犠牲」のプレー |
| 犠飛 | ✅ | ❌ | フライで走者を生還させた「犠牲」のプレー |
| 敵失(エラー) | ✅ | ✅ | 相手のミスで出塁。打者の責任打席として記録 |
| 野選 | ✅ | ✅ | 守備側が他の走者を狙ったため打者が出塁 |
| 併殺 | ✅ | ✅ | ゲッツーで2アウト。打者の責任として記録 |
打数を計算するとき「打席数 − 四球 − 死球 − 犠打 − 犠飛」でしたね(第39回)。敵失・野選・併殺は除外されないので、打数には含まれます。打率を計算するとき、敵失で出塁しても打率には貢献しないため、エラーが多いと打率が下がる仕組みです。
犠打・犠飛のカウント(完全一致)
犠打と犠飛はシンプルです。フォームの選択肢がそのまま「犠打」「犠飛」という文字列なので、完全一致でカウントするだけです。
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!I:I,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!J:J,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!K:K,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!L:L,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!M:M,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!N:N,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!O:O,"犠打")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!P:P,"犠打")
犠飛数(F列)は「犠打」を「犠飛」に変えるだけです。構造はまったく同じです。
敵失のカウント(ワイルドカードが必要)
敵失のカウントは少し注意が必要です。フォームの選択肢を見ると、「敵失」とひとまとめにする方法と、守備位置ごとに「投失」「捕失」「一失」「二失」「三失」「遊失」「左失」「中失」「右失」と分ける方法の2種類があります。
自分のフォームで「敵失」という1種類だけを使っているのか、「投失・捕失・一失…」という守備位置別の記号を使っているのかによって、関数の書き方が変わります。まずは自分のフォームの選択肢を確認してください。
パターンA:「敵失」1種類だけの場合
フォームの選択肢が「敵失」だけなら、完全一致でカウントできます。
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"敵失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"敵失")
…(第十打席まで同様)
パターンB:「投失・捕失・一失…」と守備位置別に記録する場合
守備位置別の記号を使っている場合、すべての「〇失」をまとめてカウントしたいときはワイルドカードが役立ちます。「失」という文字で終わる記号をすべて拾えます。
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!I:I,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!J:J,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!K:K,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!L:L,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!M:M,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!N:N,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!O:O,"*失")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!P:P,"*失")
"*失" は「失という文字で終わるすべての記号」を拾います。「投失」「捕失」「一失」「遊失」…どれも一度にカウントできます。
野選・併殺のカウント(完全一致)
野選と併殺はフォームの選択肢が「野選」「併殺」の1種類ずつなので、完全一致でカウントします。
=COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!G:G,"野選")
+COUNTIFS('フォームの回答(野手)'!E:E,A2,'フォームの回答(野手)'!H:H,"野選")
…(第十打席まで同様)
併殺数は「野選」を「併殺」に変えるだけです。
実際のデータで確認してみよう
以下のフォームに記録されたデータを例に、集計結果を確認してみましょう。
| 試合 | 第一打席 | 第二打席 | 第三打席 | 第四打席 |
|---|---|---|---|---|
| 第1試合 | 遊ゴ | 中安 | 犠打 | (なし) |
| 第2試合 | 犠打 | 四球 | 空三振 | 四球 |
| 第5試合 | 空三振 | 犠飛 | 犠飛 | 敵失 |
この場合の集計結果です。
| 項目 | 結果 | 打数への影響 |
|---|---|---|
| 犠打数 | 2 | 打数から除外される |
| 犠飛数 | 2 | 打数から除外される |
| 敵失数 | 1 | 打数に含まれる(除外しない) |
集計項目の全体像をまとめる
ここまでで、年間(野手)シートに必要な特殊打席の集計列がそろいました。整理するとこうなります。
| 項目 | 条件の書き方 | 打数に含む |
|---|---|---|
| 犠打数 | "犠打"(完全一致) | ❌ |
| 犠飛数 | "犠飛"(完全一致) | ❌ |
| 敵失数 | "敵失" または "*失"(ワイルドカード) | ✅ |
| 野選数 | "野選"(完全一致) | ✅ |
| 併殺数 | "併殺"(完全一致) | ✅ |
「敵失も特殊な打席だから打数から除外しなければ」と思う方がいますが、敵失は打数に含めます。除外するのは四球・死球・犠打・犠飛の4つだけです。第39回の打数の計算式を確認してみてください。
- 犠打・犠飛は打数から除外される。敵失・野選・併殺は打数に含まれる
- 犠打・犠飛・野選・併殺は完全一致でCOUNTIFSカウントするだけ
- 敵失は守備位置別記号(投失・捕失…)を使っている場合は
"*失"のワイルドカードでまとめてカウントできる - 敵失を打数から除外しないよう注意する(間違いやすいポイント)
- 自分のフォームの選択肢が「敵失」1種類か「〇失」形式かを先に確認する
次回予告
次回は「盗塁をフォームで記録してカウントする方法」。打席結果とは別の数値入力として盗塁を管理する設計と、SUMIFSで選手ごとに集計する方法を解説します。



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