前回は試合当日(野手)シートの設計を解説しました。今回はいよいよ「試合当日(投手)シート」です。野手とは違う、投手ならではの悩ましいポイントが登場します。
基本的な考え方は野手シートと同じですが、投球回の扱いや集計方法には投手特有の注意点があります。ひとつずつ確認していきましょう。
試合当日(投手)シートの役割
野手シートと同様、このシートもチームのホームページに掲載する試合結果ページで、投手成績を表示するために使います。
- 特定の試合に登板した投手ごとの成績
- 投球回・失点・自責点・奪三振・与四死球など
- 先発・中継ぎ・抑えの登板順での表示
シートの列構成
まずは全体像から。試合当日(投手)シートの列は、このように設計します。
| 列 | 項目名 | 内容 | 入力方法 |
|---|---|---|---|
| A列 | 投手名 | 登板した投手名 | 手入力 |
| B列 | 勝敗 | 勝・負・セーブ・Hなど | VLOOKUP自動取得 |
| C列 | 投球回 | ○回○/3形式で表示 | 変換関数で自動表示 |
| D列 | 打者数 | 対戦した打者の総数 | VLOOKUP自動取得 |
| E列 | 被安打 | 打たれた安打の数 | VLOOKUP自動取得 |
| F列 | 奪三振 | 三振を取った数 | VLOOKUP自動取得 |
| G列 | 与四死球 | 四球+死球の合計 | VLOOKUP自動取得 |
| H列 | 失点 | 相手に与えた点数 | VLOOKUP自動取得 |
| I列 | 自責点 | 防御率の計算に使う | VLOOKUP自動取得 |
野手シートでは、打席結果の記号をCOUNTIFで数えていました。一方投手シートでは、投球回や失点などすでに数値として入力されているデータをそのまま引っ張ってくるだけです。そのため使う関数もCOUNTIFではなくVLOOKUPになります。
投手名は手入力する
野手シートと同じく、A列の投手名は手入力です。
先発投手を1行目、中継ぎを2行目、抑えを3行目というように、登板した順番どおりに入力しましょう。この順序を守るだけで、試合の流れがひと目でわかるスコア表に仕上がります。
投球回の表示が最大の設計ポイント
投手シートで一番つまずきやすいのが、投球回の表示です。フォームには「4.1」と入力されますが、スコア表では「4回1/3」と表示したいところ。この変換をどう実現するかが、今回のいちばんの山場です。
| 入力値 | 表示形式 |
|---|---|
| 1 | 1回 |
| 1.1 | 1回1/3 |
| 1.2 | 1回2/3 |
| 4.1 | 4回1/3 |
| 4.2 | 4回2/3 |
この変換は、以下のような関数で実現できます。詳しい仕組みは第60回で解説しますので、ここでは「こういうことができる」という概念だけつかんでおけば十分です。
=INT(投球回) & "回" & IF(MOD(ROUND(投球回*10,0),10)=0,"",MOD(ROUND(投球回*10,0),10) & "/3")
この関数を使うと、4.1は「4回1/3」、4.2は「4回2/3」、4は「4回」と、自動でそれらしい表示に変換されます。
VLOOKUPでデータを引っ張る仕組み
B列以降のデータは、フォームの回答(投手)シートからVLOOKUPで引っ張ってきます。
たとえば「フォームの回答(投手)シートの中から、試合日が2026/5/11で、かつ投手名が田中の行を探し、その行の失点の値を返す」というイメージです。野手シートのCOUNTIFと発想は似ていますが、VLOOKUPは「数える」関数ではなく、「値をそのまま取ってくる」関数だという違いがあります。詳しくは第7章で解説します。
野手シートと投手シートの比較
| 項目 | 試合当日(野手) | 試合当日(投手) |
|---|---|---|
| 手入力項目 | 打順・選手名・守備位置 | 投手名(登板順に) |
| 主な集計関数 | COUNTIFS・SUMIF | VLOOKUP |
| 難しいポイント | 記号をカウントするロジック | 投球回の表示形式変換 |
| 用途 | 打撃成績スコア表 | 投手成績スコア表 |
- 試合当日(投手)シートはホームページ掲載用の投手スコア表
- 投手名のみ手入力、その他はVLOOKUPで自動取得
- 投球回は「4.1」→「4回1/3」のように表示形式を変換する関数を使う
- 野手シートはCOUNTIFで記号をカウント、投手シートはVLOOKUPで値を取得する
- 投手名は登板した順番で入力する
次回予告
次回は「試合当日シートにデータを集計する仕組み」を取り上げます。野手シート・投手シート、それぞれの関数がフォームの回答シートからどうやってデータを引っ張ってくるのか、全体の流れをもう一度整理してみましょう。



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