前回、投球回は「1.1・1.2形式の小数で入力する」と説明しました。今回はなぜこの形式にするのかという理由と、スプレッドシートでどう計算されるかの仕組みを詳しく解説します。
「なんとなく決まったルール」ではなく、設計上の理由があります。理解しておくと、万が一トラブルが起きたときに自分で対処できるようになります。
投球回の表記方法は複数ある
投球回の記録方法にはいくつかの選択肢があります。
| 方法 | 1回1/3の表記 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 分数表記 | 1回1/3 | 直感的でわかりやすい | 文字列のため計算できない |
| アウト数 | 4 | 計算がシンプル(÷3するだけ) | 入力者には直感的でない |
| 小数表記(採用) | 1.1 | 直感的・計算可能・AI変換しやすい | 変換関数がやや複雑 |
- 直感的:「4回1/3」を「4.1」と入力するのは自然で覚えやすい
- 計算可能:数値なのでスプレッドシートの関数で集計できる
- AI変換しやすい:スコアブックの「4回1/3」をAIが読んでも「4.1」に変換しやすい
小数表記の変換ルール
「1.1」がどう計算されるか、変換ルールを確認しておきましょう。
| 入力値 | 意味 | 実際のイニング数 |
|---|---|---|
| 1.0(または1) | 1回ちょうど | 1.000イニング |
| 1.1 | 1回1/3 | 1.333…イニング |
| 1.2 | 1回2/3 | 1.666…イニング |
| 2.0(または2) | 2回ちょうど | 2.000イニング |
| 2.1 | 2回1/3 | 2.333…イニング |
小数点以下の「1」は「1/3イニング」、「2」は「2/3イニング」を意味します。つまり小数点以下の数字×(1/3)が実際のイニング数の小数部分になります。スプレッドシートではこの変換を関数で自動的に行います。
スプレッドシートでの変換関数
「1.1」や「1.2」を実際のイニング数に変換するには以下の関数を使います。第7章の投手成績編で詳しく解説しますが、ここで概要だけ確認しておきましょう。
=INT(投球回) + (投球回 - INT(投球回)) * 10 / 3
例:1.1の場合 → INT(1.1)=1、小数部分=0.1 → 0.1×10÷3=0.333… → 合計1.333…
複数試合の投球回を合計するには以下のSUMPRODUCT関数を使います。
=SUMPRODUCT( INT(投球回範囲) + (投球回範囲 - INT(投球回範囲)) * 10 / 3 )
この関数で、複数試合の投球回を正確に合算できます。詳しくは第58回で解説します。
合計を「○回○/3」形式で表示する
計算結果の「3.666…」を「3回2/3」という形で表示するには逆変換が必要です。
=INT(合計) & "回" & MOD(ROUND(合計*3,0),3) & "/3"
例:3.666…の場合 → 「3回2/3」と表示される
投球回の変換関数は第7章(第58〜60回)で丁寧に解説します。今の段階では「1.1・1.2形式で入力すれば自動的に正しく計算される」という理解で十分です。
将来のAI活用との親和性
この小数表記が将来的なAI活用にも適している理由を説明します。
将来的に手書きのスコアブックをスマホで撮影してAIが読み取る場合、スコアブックには「4回1/3」と書かれています。AIはこれを読み取り「4.1」に変換してフォームに入力することができます。
もしアウト数(13など)を使っていた場合、「4回1/3 → 13」という変換ルールはAIにとって直感的でなく、誤変換のリスクが高まります。小数表記なら「4回1/3 → 4.1」と自然に変換できます。
- 投球回は1.1・1.2形式の小数で入力する
- 小数点以下の「1」は1/3イニング、「2」は2/3イニングを意味する
- 「.3」は存在しない(1イニング=3アウトなので0・1・2の3パターンのみ)
- スプレッドシートでは変換関数で正確なイニング数に変換して計算する
- 将来のAI活用にも対応しやすい表記形式
次回予告
次回は「チーム成績フォームを作ろう」。試合の勝敗・得点・失点・イニング数を記録するチーム成績フォームの設計手順を解説します。
▶︎ 次回:【第25回】チーム成績フォームを作ろう


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