前回は固定メンバーが加入・脱退するときの対応方法を解説しました。今回のテーマは助っ人選手の成績管理です。
草野球では、固定メンバーが揃わないときに知人や他チームの選手を助っ人として呼ぶことがよくあります。助っ人は毎回違う人が来ることも多いため、固定メンバーと同じように個人名で管理するのは意外と大変です。そこで管理表では「助っ人」という特別な選手名を用意し、まとめて記録できるようにしています。今回は、サンプルデータを使いながらその仕組みと使い方を整理していきましょう。
「助っ人」という名前で一括管理する設計
設定一覧シートの打者マスタには、背番号「.」(背番号を持たない選手用の記号)で「助っ人」という名前を登録します。Googleフォームの名前選択肢にも「助っ人」を加えておき、固定メンバー以外の参加者はすべてこの選択肢を選んで入力する、というシンプルな仕組みです。
| メリット | デメリット・限界 |
|---|---|
|
|
つまりこの仕組みは、「助っ人全体としてどれくらい貢献してくれたか」を把握するのには向いていますが、「あの助っ人Aさんの打率はどうだったか」を知りたいケースには向いていません。そこを割り切っているのが、「助っ人」一括管理という設計の考え方です。
サンプルデータで助っ人の実績を確認してみましょう
例えば、あるシーズンで助っ人が参加した試合が5試合(延べ6出場)あったとします。フォームに入力されたサンプルデータを、順番に見ていきましょう。
| 試合日 | 打順 | 守備 | 第1打席 | 第2打席 | 第3打席 | 第4打席 | 第5打席 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2/15 | 6 | 三 | 投ゴ | 空三振 | 空三振 | — | — |
| 3/8 | 2 | 一 | 中安 | 右2 | 中安 | 左安 | 三ゴ(死球) |
| 3/8 | 3 | 左 | 左本 | 四球 | 死球 | 三振 | 遊ゴ |
| 3/22 | 9 | 右 | 中安 | 二ゴ | 四球 | — | — |
| 4/26 | 1 | 遊 | 三ゴ | 空三振 | 空三振 | — | — |
| 4/26 | 2 | DH | 遊失 | 左安 | 三ゴ | — | — |
この例では、3/8と4/26は同じ試合に2人の助っ人が出場しています。別人のデータが「助っ人」として合算されている状態です。3/8の3番助っ人はホームランを放っており、チームにとって頼もしい助っ人が来てくれた試合だったことがわかります。
年間(野手)シートでの助っ人の集計結果
これらのデータを合算すると、助っ人の年間成績は次のようになります。
| 出場試合数 | 6(延べ6出場:別人でも合算) |
| 打席 | 23 |
| 打数 | 19 |
| 安打 | 7 |
| 打率 | .368(7÷19) |
| 本塁打 | 1(3/8の3番助っ人が「左本」) |
| 打点 | 5 |
| 三振 | 5 |
| 四死球 | 4 |
| 出塁率 | .478 |
| OPS | 1.057 |
打率.368・OPS1.057は、固定メンバーの中でもトップクラスの数字です(延べ6人分の合算とはいえ、侮れません)。この例からも、助っ人に助けられるシーズンがあることがよくわかります。
同じ試合に複数の助っ人がいる場合の記録方法
先ほどの3/8や4/26のように、同じ試合に複数の助っ人が出場する場合、今の設定では全員が「助っ人」として記録されます。試合当日シートには「助っ人」の行が2行並ぶ形になります。
集計上の問題は、実はほとんどありません。試合当日シートでは打順・守備・打席結果・各成績を行ごとに正しく処理でき、年間シートでも全「助っ人」行の成績がSUMIFで問題なく合算されます。
唯一気をつけたいのが「試合数のカウント」です。年間シートのE列(試合数)は「助っ人が出場した試合数」を数えていますが、1試合に2人の助っ人がいるとその試合は2試合分としてカウントされてしまいます。先ほどの例でも、3/8と4/26はそれぞれ2人ずつ出場しているため、実際の試合数は4試合なのに集計上は「6試合」と表示されます。規定打席の判定など、試合数を厳密に使う場面では注意しておきましょう。
助っ人を個人別に管理したい場合の応用
「いつも来てくれる助っ人Aさんの個人成績を残したい」という場合は、設定一覧に個人として登録してしまうのが、いちばんシンプルな解決策です。
設定一覧の打者マスタに背番号「助」(または「G」「-」など固定メンバーと区別できる記号)と名前(例:K.GUEST)を追加する
フォームの名前選択肢に「K.GUEST」を追加する
年間(野手)シートに行を追加する——第94回で解説した手順と同じ
次回以降の参加時はフォームで「K.GUEST」を選んで入力する
一方で、一度きりの助っ人や不定期な参加者は、そのまま「助っ人」として記録しておくほうが手間もかからず現実的です。常連かどうかで使い分けるのが、ちょうどいいバランスだと思います。
「助っ人」記録を過去にさかのぼって個人別に変換したい場合
「3/8の2番打者の助っ人は、実はAさんだった」と後から個人名に変更したくなったとき、第88・90回で解説した検索と置換は使えません。「助っ人」という文字列をまとめて置換すると、他の日の助っ人まで変わってしまうからです。
フォーム(野手)シートを開き、変更したい行(例:3/8・打順2・守備「一」の行)を探します。その行のE列(選手名)セルをクリックし、「A.GUEST」など正しい名前を直接入力して上書きしましょう。
ただし、設定一覧とフォームの選択肢に「A.GUEST」が登録されていないと、年間シートの集計でその名前が拾われません。さかのぼって変換する場合は、先に設定一覧とフォームへの登録を済ませておきましょう。
- 「助っ人」は設定一覧に背番号「.」で登録された特別な選手名——固定メンバー以外の参加者を一括管理する仕組み
- サンプルデータでは5試合・延べ6出場に助っ人が参加——打率.368・本塁打1・打点5・OPS1.057と、チームへの貢献度の高さが数字にも表れている
- 同一試合に複数の助っ人がいる場合は別人のデータが合算される——3/8と4/26はそれぞれ2人が出場
- 試合数カウントは「助っ人の出場数」になるため、1試合に複数いると実際より多くカウントされる——規定打席の判定には注意
- 常連助っ人は第94回の手順で個人として登録することで個人成績を追えるようになる
- 一度きりの不定期参加者は「助っ人」のままで記録するのが運用コストが低く現実的
次回予告
次回は「複数チームに応用する方法」です。同じ設計を別のチームにも展開したいとき、どこをコピーして、どこを変更すればいいのか——スプレッドシートの複製方法から、設定一覧やフォームの選手名リストの差し替え手順まで、順番に整理していきます。
▶︎ 次回:【第96回】複数チームに応用する方法



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