第88回 COUNTIFで正しくカウントされない場合の対処法

運用・トラブル対応

前回は#VALUE!エラーの原因と対処法を解説しました。今回は「エラーは出ていないのに数字がおかしい」という別のタイプの問題です。

COUNTIFで打席結果を集計しているのに、カウントが0になる・明らかに少ない——という状況は実際の運用でよく起きます。エラーが出ないぶん原因に気づきにくく、「式が間違っているのか、データが悪いのか」と迷いやすいです。今回は実際のフォームデータの中に見つかった表記ゆれを使って、原因の特定から修正までを丁寧に解説します。

COUNTIFがカウントしない仕組み

COUNTIFは「完全一致」でカウントします(ワイルドカードを使わない場合)。「二ゴ」という条件で検索したとき、セルに「ニゴ」(カタカナの「ニ」)が入っていれば1文字違うだけでカウントされません。

📝 「同じ文字に見える」でも別物として扱われるケース
見た目 実際の文字 COUNTIFの結果
条件:「二ゴ」、セル:「二ゴ」 漢字「二」+「ゴ」/漢字「二」+「ゴ」 ✅ カウントされる
条件:「二ゴ」、セル:「ニゴ」 漢字「二」+「ゴ」/カタカナ「ニ」+「ゴ」 ❌ カウントされない
条件:「空三振」、セル:「三振」 「空三振」(4文字)/「三振」(2文字) ❌ カウントされない
条件:「二ゴ」、セル:「二ゴ 」(末尾にスペース) 「二ゴ」/「二ゴ」+スペース1文字 ❌ カウントされない

実際のデータで見つかった表記ゆれ3パターン

今シーズン(2026年)のフォーム(野手)シートの打席結果データを全件確認したところ、カウントのズレを引き起こす表記ゆれが実際に3か所見つかりました。

表記ゆれ①:「ニゴ」(カタカナ)vs「二ゴ」(漢字)

3月1日のN.ENDOさんの第二打席に「ニゴ」(カタカナの「ニ」)が入力されていました。設定一覧の選択肢は「二ゴ」(漢字の「二」)です。

⚠️ この「ニ」と「二」は見た目がほぼ同じで気づきにくい

「ニ」はカタカナ(片仮名)、「二」は漢数字(二の字)です。フォントによってはほぼ見分けがつきません。スマホの日本語キーボードで「に」を変換したとき、カタカナ「ニ」を選んでしまいやすいのが原因です。

この入力ミスがあると、「二ゴ」のカウントが実際より1少なくなります。1打席分のズレなので気づきにくいですが、積み重なると打数・打率に影響します。

表記ゆれ②:「三振」vs「空三振」「見三振」

3月8日のK.NAGAIさんとH.OKITAさんの打席に「三振」(「空」や「見」なしの2文字)が入力されていました。設定一覧の選択肢は「空三振」と「見三振」の2種類です。

📝 「三振」が設定一覧にない理由

この成績管理表では三振を「空三振(スイングアウト)」と「見三振(見逃しアウト)」に分けて記録する設計になっています。「三振」という総称はフォームの選択肢に存在しません。

「三振」と入力してしまうと、三振のカウント式(「空三振」を含む記号を集計)では拾われず、打席としても何かアウトにはなっているはずなのにどの記号にも該当しないという「宙ぶらりん」状態になります。

表記ゆれ③:「走本」「敵失」——設定一覧にない独自記号

2月15日のS.TANIさんの第三打席に「走本」、複数の試合で「敵失」が使われています。「走本」は設定一覧に存在しない記号です。「敵失」は設定一覧に「投失・捕失・一失…中失…右失」と守備位置別に定義されていますが、「敵失」という総称は含まれていません。

⚠️ 設定一覧にない記号は集計式にヒットしない

「走本」は走者一掃本塁打など特殊な打席を記録したかったのだと思われますが、集計式の REGEXMATCH パターン(「安|2|3|本」)で判定しているため「本」を含む「走本」は安打としてカウントされます。一方、本塁打(「本」を含む記号)のカウント式にもヒットします。これは意図通りかもしれませんが、「走本」という記号が何を意味するかがチーム内で共有されていないと混乱を招きます。

「敵失」については設定一覧の「投失・捕失…」などの守備位置別記号を参照しているため、「敵失」という記号は敵失のカウントに引っかかりません。

カウントずれを発見する方法

「なんか成績が合わない気がする」と感じたときに使えるチェック方法を3つ紹介します。

方法①
フォームシートで打席結果の一覧を目視チェックする

フォーム(野手)シートの打席結果列(G〜P列)を上から眺めて、見慣れない記号・漢字とカタカナが混在している箇所を探します。列幅を広げて表示すると気づきやすくなります。量が多い場合は次の方法②・③と組み合わせてください。

方法②
COUNTIF で疑わしい記号を直接検索する

空きセルに =COUNTIF('フォーム(野手)'!G:P, "ニゴ") のように入力して、カタカナ「ニ」バージョンの記号が何件あるか確認します。0以外の数が返ってきたら、その記号の混入が確定します。同様に =COUNTIF('フォーム(野手)'!G:P, "三振") で設定外の「三振」の混入も確認できます。

方法③
Ctrl+H(検索と置換)で全件チェックする

Ctrl+H(MacはCommand+H)で検索と置換ダイアログを開き、「検索:ニゴ」と入力して「すべて検索」をクリックすると、フォームシート全体から該当セルを一覧表示できます。存在する場合はそのまま「置換:二ゴ」として一括置換することも可能です。

修正方法:表記ゆれを正しい記号に置き換える

原因が特定できたら修正します。最も確実なのはCtrl+H(検索と置換)での一括置換です。

✅ 検索と置換で一括修正する手順
1

フォーム(野手)シートを開いてCtrl+H(MacはCommand+H)を押す

2

「検索」欄に「ニゴ」(カタカナ)、「置換後の文字列」欄に「二ゴ」(漢字)を入力する

3

「すべて置換」をクリックして完了。置換件数が表示されるので確認する

4

同様に「三振」→「空三振」(どちらか記録の意図に合わせて)、「敵失」→ 該当の守備位置別記号(例:「一失」など)に置換する

⚠️ フォームシートへの直接編集は慎重に

第28回で解説したとおり、フォーム(野手)シートはGoogleフォームが自動記録するシートです。今回のような表記ゆれの修正は既存データを正しく修正する作業なのでOKですが、行の削除・列の追加・並び替えは避けてください。

置換操作はセルの値を書き換えるだけなので、フォームとの連携には影響しません。

そもそもなぜ表記ゆれが起きるのか:根本原因と予防策

表記ゆれのほとんどはフォームの選択肢を使わずに、テキスト入力欄に手打ちしてしまったことが原因です。

📝 表記ゆれを防ぐ2つの方法
方法 内容 効果
打席結果はすべてドロップダウン(選択肢)から選ぶ Googleフォームで打席結果をラジオボタンまたはドロップダウンにする(第17〜20回参照) 手打ちできないので表記ゆれが原理的に発生しない
設定一覧の記号を試合前にチームで確認・共有する 「三振は空三振か見三振で記録する」「敵失は守備位置別で記録する」などのルールを周知する ルールを知らないことによる独自記号の使用を防ぐ

今回見つかった「走本」は、「ランニングホームラン」や「走者一掃本塁打」を記録したかったのだと思われます。もしこのような特殊ケースを記録したい場合は、設定一覧に「走本」を追加して集計式のパターンにも含めるか、「左本」などの通常の本塁打記号で統一するか、チームで決めておくことをおすすめします。

今回の修正で成績がどう変わるか

「ニゴ」→「二ゴ」と「三振」→「空三振」を修正すると、該当選手の打数・三振数が正しくなります。

修正内容 影響する選手・集計 変化
「ニゴ」→「二ゴ」(3/1 N.ENDO) N.ENDOの打数・ゴロアウト集計 「ニゴ」は打数カウントのパターンにマッチしていた可能性があるが、「二ゴ」に統一して計算が安定する
「三振」→「空三振」(3/8 K.NAGAI・H.OKITA) 三振カウント(空三振・見三振を集計する式) これまで「三振」は三振としてカウントされていなかった。修正後は正しく三振としてカウントされる
✅ この記事のまとめ
  • COUNTIFは完全一致で動く——「ニゴ」と「二ゴ」は見た目が似ていても別の文字として扱われてカウントされない
  • 実際のデータで見つかった表記ゆれ:①「ニゴ」(カタカナ)vs「二ゴ」(漢字)、②「三振」(設定外の総称)vs「空三振」「見三振」、③「敵失」(総称)vs 守備位置別記号
  • カウントずれの発見は「疑わしい記号をCOUNTIFで直接カウントする」「Ctrl+Hですべて検索する」が効果的
  • 修正はCtrl+H(検索と置換)で一括置換するのが最速——フォームシートのセル値を書き換えるだけなのでフォームとの連携に影響しない
  • 根本予防策は打席結果をフォームのドロップダウンから必ず選ぶ——手打ちを禁止すれば表記ゆれは原理的に起きない
  • 設定一覧にない独自記号(「走本」「敵失」など)が入り込んだときは設定一覧に追加するか、既存の記号に統一するかをチームで決める

次回予告

次回は「フォームの回答がシートに反映されない場合」。Googleフォームで入力したはずなのに、スプレッドシートにデータが現れない——というトラブルの対処法を解説します。フォームとシートの連携が切れる原因と、再接続の手順を丁寧に説明します。

▶︎ 次回:【第89回】フォームの回答がシートに反映されない場合

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