第48回 出塁率の定義と計算式を作る

関数・自動化

前回は打率の計算式と、IFERROR関数を使ったエラー防止のテクニックを学びました。今回のテーマは出塁率の定義と計算式づくりです。

出塁率は打率とよく混同される指標ですが、実は評価しているものが違います。四球や死球で出塁した事実まで評価に含めるのが出塁率の特徴です。計算式は打率より少し長くなりますが、パーツごとに分解すれば決して難しくありません。ひとつずつ組み立てていきましょう。

打率と出塁率の違いを整理する

まずは、打率と出塁率がそれぞれ何を測っている指標なのかを比べてみましょう。

指標 分子(何を数えるか) 分母(何で割るか)
打率安打数打数(四球・死球・犠打・犠飛を除く)
出塁率安打数 + 四球数 + 死球数打数 + 四球数 + 死球数 + 犠飛数
📝 出塁率のポイントは「四球・死球を評価する」こと

打率が評価するのはヒットだけですが、出塁率では四球・死球で出塁した事実も分子に加えます。そのため、選球眼がよく四球をたくさん選べる選手は、ヒット数が同じでも出塁率が高くなります。一方で犠打は分母に含めません。犠打は走者を進めるための打席なので、出塁能力を測る式には含めないというルールです。

出塁率の計算式

✅ 出塁率の計算式

出塁率 =(安打数 + 四球数 + 死球数)÷(打数 + 四球数 + 死球数 + 犠飛数)

この式を、分子と分母に分けて見ていきましょう。

分子:出塁した回数

安打・四球・死球は、どれも打者が塁に出られる結果です。この3つを合計すると「出塁できた回数」になります。

安打数 + 四球数 + 死球数
分母:出塁が評価される打席数

打数に四球・死球・犠飛を加えたものが分母になります。犠打だけは分母に含めません。犠打は打者が意図的に走者を進めるための行為であり、出塁能力を評価する対象からは外すというルールがあるためです。

打数 + 四球数 + 死球数 + 犠飛数
📝 犠打は分母に含めない・犠飛は含める

犠打(バント)は分母に含みません。一方、犠飛(フライで走者を生還させたアウト)は分母に含めます。この違いは覚えるしかない野球のルール上の決まりごとなので、「そういうものだ」として押さえておきましょう。

例えば、こんなデータで計算を確認してみる

例えば、年間(野手)シートにこんなデータがあったとして、実際に出塁率を計算してみましょう。

SUZUKIさんの例(四死球が多い選手)

項目
安打数14
四死球数(四球+死球)8
打数22
犠飛数0
出塁率(14+8)÷(22+8+0)= 22÷30 ≒ .733

打率は.636でしたが、四死球8個が加算されることで出塁率は.733まで上がります。四球を多く選べる選手ほど出塁率が高くなる、という仕組みがよくわかる例です。

TANAKAさんの例(四死球が0の選手)

項目
安打数10
四死球数0
打数28
犠飛数0
出塁率(10+0)÷(28+0+0)= 10÷28 ≒ .357

四死球が0の場合、出塁率と打率はまったく同じ値になります(どちらも.357)。四球・死球がなければ分子・分母のどちらにも加算がないため、式そのものが打率と一致するのです。

出塁率の関数(完成形)

年間(野手)シートにすでに必要な列がすべて揃っている前提で、IFERRORを組み込んだ完成形の関数を紹介します。ここでは例として安打数がG列・打数がF列・四球数がC列・死球数がD列・犠飛数がF2列に入っているとしますが、実際に使うときは、ご自身のシートの列番号に置き換えてください。

✅ 出塁率の関数(完成形)
=IFERROR((安打数+四球数+死球数)/(打数+四球数+死球数+犠飛数), 0)

各項目に実際のセル番号を当てはめると、例えばこのようになります。

【例】安打=G2・打数=F2・四球=C2・死球=D2・犠飛=F_犠飛列2 の場合
=IFERROR((G2+C2+D2)/(F2+C2+D2+犠飛数のセル), 0)

列の位置はシートの設計によって変わります。「分子を()でくくる」「分母を()でくくる」「全体をIFERRORで囲む」という3つの手順で組み立てれば、迷わず作れるはずです。

計算式を作るときの3ステップ

STEP 1 分子を作る:(安打数のセル + 四球数のセル + 死球数のセル) と書く
STEP 2 分母を作る:(打数のセル + 四球数のセル + 死球数のセル + 犠飛数のセル) と書く
STEP 3 IFERRORで囲む:=IFERROR(分子/分母, 0) の形に仕上げる
⚠️ 四球数と死球数を別々に持つかまとめるか

年間(野手)シートの設計によっては、四球数と死球数を合算した「四死球」列で管理している場合もあります。その場合は、分子・分母どちらも「四死球数のセル」1つで代用できます。式を作る前に、自分のシートのどの列に何が入っているかを確認しておきましょう。

打率と出塁率を並べて比較してみる

完成した打率と出塁率を並べてみると、選手ごとの「ヒット力」と「出塁能力」の違いがくっきり見えてきます。

選手名 打率 出塁率 差(出塁率−打率)
SUZUKI.636.733+.097(四死球8個)
NAKATA.368.478+.110(四死球4個)
SATO.125.300+.175(四死球2個)
TANAKA.357.357±.000(四死球0個)

注目したいのはSATOさんです。打率は.125と低めですが、出塁率は.300まで上がっています。打席数10のうちヒットはわずか1本ですが、四球を2つ選んでいることで出塁率が大きく押し上げられているのです。

✅ この記事のまとめ
  • 出塁率 =(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)
  • 打率との違いは四球・死球を分子に加え、犠飛を分母に加えること
  • 犠打は分母に含めない(犠飛は含める)という野球のルールに従う
  • 四死球が0の選手は出塁率と打率が同じ値になる
  • IFERRORで囲んで打席ゼロの選手のエラーを防ぐのは打率と同じ

次回予告

次回のテーマは「長打率の定義と計算式を作る」です。第45回で計算した塁打数を使って長打率を求め、出塁率と組み合わせることでOPSが計算できるようになります。

▶︎ 次回:【第49回】長打率の定義と計算式を作る

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