前回は犠打・犠飛・敵失・野選・併殺という特殊打席のカウント方法を学びました。今回は盗塁をフォームで記録して、選手ごとに集計する方法を解説します。
実は盗塁の管理は、これまでの「打席結果をCOUNTIFSでカウントする」方法とは少し違います。盗塁は打席結果ではなく「1試合に何個盗塁したか」という数値として記録するため、集計にはSUMIFS(サムイフエス)という新しい関数を使います。
なぜ盗塁は打席結果と別に管理するのか
「盗塁も打席結果の選択肢に加えればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし盗塁は打席(打者として打つこと)ではなく、出塁した後の走塁行為です。
たとえば「安打で出塁した後に盗塁した」という場合、打席結果は「安打」で盗塁が1個という情報を同じ打席行に両方記録したいのです。打席結果の選択肢に「盗塁」を追加してしまうと、安打の記録が消えてしまいます。だから盗塁は数値として別の列に入力する設計にしています。
具体的には、フォームの回答シートを見ると次のような構造になっています。
| 列 | 項目 | 入力形式 |
|---|---|---|
| E列 | 名前 | 選択肢(ドロップダウン) |
| G〜P列 | 第一〜第十打席 | 選択肢(三安・四球・遊ゴ…) |
| Q列 | 打点 | 数値入力(0・1・2・3…) |
| R列 | 盗塁 | 数値入力(0・1・2・3…) |
打席結果は「記号を選ぶ」形式ですが、盗塁と打点は「数値を入力する」形式です。この違いが集計関数にも影響してきます。
COUNTIFSとSUMIFSの違い
これまで使ってきたCOUNTIFSは「条件に合う行を数える」関数でした。盗塁の集計には「条件に合う行の数値を合計する」SUMIFSを使います。
| 関数 | 何をするか | 使う場面 |
|---|---|---|
| COUNTIFS | 条件に合う行を数える | 安打数・三振数など「何回あったか」を集計するとき |
| SUMIFS | 条件に合う行の数値を合計する | 盗塁数・打点など「数値の合計」を集計するとき |
COUNTIFSは「条件範囲、条件」という順番でしたが、SUMIFSは最初に「合計する列」を指定してから「条件範囲、条件」を書きます。似ているようで少し違うので注意しましょう。
COUNTIFS(条件範囲1, 条件1, ...) SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, ...)
盗塁数の関数
SUMIFSの構造を確認したところで、実際の関数を作っていきましょう。
=SUMIFS('フォームの回答(野手)'!R:R,'フォームの回答(野手)'!E:E,A2)
'フォームの回答(野手)'!R:R:盗塁数が入っている列(合計したい列)'フォームの回答(野手)'!E:E:選手名が入っている列(絞り込む条件の列)A2:年間シートのA2セル(田中選手の名前)
COUNTIFSと違い、打席列(G〜P列)を10行に渡って足し算する必要がありません。盗塁は1行に1つの数値として記録されているので、1行のSUMIFSだけで完結します。
実際のデータで確認してみよう
以下のフォーム回答シートのデータを使って確認します。TANAKAさんの盗塁数を集計してみましょう。
| 試合 | 主な打席結果 | 盗塁(数値入力) |
|---|---|---|
| 第1試合 | 三ゴ・敵失 | 1 |
| 第2試合 | 四球・左安・四球・敵失 | 3 |
| 第3試合 | 四球・右安 | 1 |
SUMIFSはTANAKAさんの行(第1・第2・第3試合…)のR列の数値をすべて合計します。この3試合だけでも 1+3+1=5盗塁です。
【COUNTIFSのイメージ:安打をカウント】
第1試合:敵失(*安*に該当しない)→ カウントしない
第2試合:左安(*安*に該当)→ カウント +1
↓ 「何回か」を数える
【SUMIFSのイメージ:盗塁を合計】
第1試合:盗塁欄に「1」→ 合計に +1
第2試合:盗塁欄に「3」→ 合計に +3
第3試合:盗塁欄に「1」→ 合計に +1
↓ 「数値の合計」を出す
打点の集計も同じ仕組みで作れる
打点もフォームで数値入力しているため、SUMIFSで同じように集計できます。盗塁のR列を打点のQ列に変えるだけです。
=SUMIFS('フォームの回答(野手)'!Q:Q,'フォームの回答(野手)'!E:E,A2)
盗塁の関数のR列をQ列に変えるだけです。構造はまったく同じなので、コピーして列番号を修正するだけで完成します。
全選手に展開するコピーの仕組み
2行目(例:TANAKAさん)の関数が完成したら、3行目以降にコピーするだけで全選手の盗塁数が自動で集計されます。
関数の中のA2(選手名セル)が相対参照になっているため、3行目にコピーすると自動的にA3に変わります。これにより田中→鈴木→山田…と選手ごとの集計が自動で切り替わります(第40回で学んだ内容と同じです)。
盗塁が0のとき、フォームの盗塁欄を「0」と入力する運用にしているか確認してください。空白のままだとSUMIFSは無視して計算するので結果は変わりませんが、試合ごとの記録をあとで確認するとき空白だと「入力忘れ」なのか「0」なのか区別できません。チームで「0のときは必ず0と入力する」というルールを決めておくと安心です。
- 盗塁は打席結果(選択肢)ではなく、数値として別の列に記録する
- 数値の合計を集計するときはSUMIFSを使う(COUNTIFSは「数える」、SUMIFSは「合計する」)
- SUMIFSは「合計する列、条件範囲、条件」の順に書く
- 打席列(G〜P列)を10行に渡って書く必要がなく、1行のSUMIFSで完結する
- 打点の集計も同じ仕組みで、列をQ列に変えるだけで作れる
次回予告
次回は「試合数を選手ごとに自動カウントする方法」。出場した試合を重複なくカウントするCOUNTIFSの活用方法を解説します。規定打席の計算にも必要な数字なので、しっかり押さえておきましょう。



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